それ、照れます!

照れたら書き、書いたら照れる。三十超えて頬を赤らめ、ひとりゆく。筆者は格子「照論文 」

安い寿司の食べ方

 百円くらいの安い回転寿司を手で食べる五、六十代の重厚感のあるおじさんって、見ているとなんだか……。

 食べ物を手で食べるという行為って、もちろん物にもよるけれども、なんだか美味しく感じる効果があるように思えるし、そもそも寿司をつまむのは自然なこと。それをわざわざ、おじさんに対するイジメかのように陰湿にピックアップして安い寿司手で食べるんじゃねえって、人の勝手だし、誰に迷惑かけているわけでもなし、じゃあ何円からなら良いんだと言えるし、自分だってそんなに若くないのによくも偉そうにこうやって書くなあと客観的に思うが、でもこのあいだ目撃して季節が変わってもいまだ胸が騒々しいからもう言いたい。もう言う。

 新幹線みたいなのに注文したのがビューンって来て、その寿司の皿受け取って、大御所俳優かのごとくそれをつまんでは両肘ついて手揉みするおじさん、ここは銀座じゃないよ。板橋区だよ。八名しか座れないカウンター席じゃないよ。百人以上入れる店の中のお一人様がご案内される横並びの席だよ。それ大トロじゃないよ、スパムだよ。

 おじさん、書いてて気がついた。気づいてしまった。ぼく、あなたに憧れているのかもしれない。本当は自分だって手でひょいと寿司を食べて粋な日本人をやってみたいのに、それは高級店でやるものだ、自分なんてその資格はない、そう、いつからか思っていたよ。廻るやつだろうが、スーパーのパックだろが、江戸前の時価だろうが、関係ないよね。おじさん、ごめん。そして、ありがとう。

 

 ぼくはこれからも、安い回転寿司屋さんでは、箸で食べます。